現代と民謡について

小杉真貴子

明治以降の音楽教育が西洋音楽一辺倒になったことと相まって、日本人が本来受け継いできたはずの音階・音程およびリズム感といったものは、西洋型のものに修正されたり、除外されてしまった傾向があります。
現在日本各地に残されている民謡の中には、そのままの姿が残されていますが、多くは現代にマッチしにくいものとして埋もれつつあるとも言えます。

そういった風潮の中で本来の哀愁・哀調といったものを生かしながら、現代のみならず未来の人たちにも受け入れ易い形として紹介し、全国に広めていく作業は日本人の財産保護に値する重要な役割を担っていると感じています。またこれは故米谷威和男の遺志でもあります。

民謡を愛好する人口が減少の一途をたどる傾向は著しいのも社会の流れも大きな要因と言えるかもしれません。グローバル化の波はややもすると日本の独自性・日本本来の姿といったことを消し去ってしまう副作用も含んでいます。

先人が培ってきた財産を守っていくには、西洋の合理性にはない、日本人独特の根気に由来する地道な活動を行っていくことが残された道となるでしょう。
日本の稽古ごとは体で覚えることが基本であり、マニュアルをまる暗記することから一歩踏み出したその人独自の応用がきく技量にまで昇華させるべきものです。それにはまず形を身につける根気が必要だと言えます。

どんなに機械が発達したとしても最後はその機械を動かす人間の資質が重要な役割を果たすことを考えれば、人間自身の能力・感性を養う稽古事は、今後もっと見直されるべきものであると考えています。


小杉真貴子
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